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示談して慰謝料はもらったけど、
将来かかる通院費は請求できるの?

将来かかる再手術費用や、入院・通院費用は請求できるか

 

示談交渉を行っていると、被害者側から将来支出すべき費用、たとえば将来の整形手術費その他の通院治療費や装具、あるいは後遺障害による付き添い看護料などの支払いを求められることがあります。

このように将来支出すべき費用を現在請求できるか否かについては、できないとする見解もありますが、現在ではこれを肯定する事例が多く、裁判所判例の見解です。

しかし損害論に対する考え方のちがいで、その理由付けが異なっています。

現実損害説では請求できない

 

まず、損害の概念について、現実損害説を採る見解があります。

この見解によれば、事故により負傷した被害者が治療の為に、現実に費用を支出した場合に損害が発生することになります。そうだとすれば、将来支出を予想される費用については、あらかじめ請求できないことになります。

もし請求するとなれば、民事訴訟法(226条)に言う、将来給付の訴えによるほかありません。将来給付の訴えは、あらかじめ相手方に請求しておく必要のある場合に認められる特別な事例としての訴えとなります。

そこでたとえば、将来の通院や入院の治療費について、現在においてあらかじめその請求を行う必要があるか否かが問題となるのですが、かならずしもその必要があると認められない場合も多く、現にその趣旨の事例や裁判例もあるようです。

しかし、その趣旨の事例では、通院や入院の治療費等に要する相当な費用が予見できる場合は、一種の損害としてその賠償を認める事例、裁判例も多くあります。

 

傷害損害説なら請求できる

 

損害の概念について、現実損害説によらず、事故による負傷そのものを損害と把握し、負傷によって損害は発生し、通院や入院の治療費のような積極損害、後遺障害による逸失利益、あるいは被った精神的苦痛の慰謝料などは、その発生した損害を金額に換算するための資料にすぎないとする傷害損害説をとれば、将来手術、あるいは看護を要する状態に現にあることは、損害を金額に換算するための資料として把握されますから、あらかじめ請求をなしうることは、当然の事となります。

すなわち、将来給付の訴えなどと言った法律構成は不要となり、すっきりとした形で請求ができるわけです。

ただ、もちろん将来の通院や入院治療費や手術費用などの支出が必要であること、およびその金額について証明がなされることは言うまでもありません。

算定方法の事例もいろいろ

 

ところで、将来支出が予想される費用の算定方法としては、将来の支出予想額から中間利息を控除する方法によるのが一般的です。

たとえば、最近の事例から目につくものをあげてみると、次のようなものがあります。

事故の為右眼球が白くなり、外観上醜状を呈する後遺障害を負ったため、終生特殊なコンタクトレンズの装置を必要とするようになったとする事例。

後遺障害等級1級の外傷性てんかんの被害者の将来の看護料につき、65年間(平均余命年間)にわたりその費用を認めた事例。

あるいは、義歯の取り換え費用を認めた事例。                            義歯といっても、プラスチックのもの、硬質のレジンを台に金属を使う場合や、今ではインプラントの仕様もありますが、この事例では硬質のレジンが相当として認められました。

このような事例で見る様に、将来の支出を予想される費用も、加害者として支払わなければなりませんが、示談交渉においては、支出を予想される費用の必要性及びその金額について十分考慮しなければなりません。