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TOP > 交通事故コラム 争点 > 慰謝料と逸失利益はどうなる?いわゆる貝採り事件の問題点
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慰謝料と逸失利益はどうなる?
いわゆる貝採り事件の問題点

弁護士さんへのアドバイス

今から20数年前になるが、訴訟でお困りの新人弁護士さんあてに判例をお知らせしアドバイスをしたことがあった。ちょうど同じような事案でいい材料があったのでお話をさせていただいた。

その事案のいきさつは、交通事故にあった大工さんの被害者Aさんは脳挫傷・頭蓋骨々折等の傷害を負い、事故後入院や通院を受けていた。

その後知能低下、左腓骨の機能障害や複視等の後遺障害残存し、後遺障害6級の認定を受けた。

事故当時は大工さんとして工務店に勤務していたものであるが、この症状固定後も就労が可能な状態になかったことから、毎日のように自宅付近の海で貝を採るなどしていたところ、海中で貝を採っている際に心臓麻痺を起こして死亡したという事案である。

下級審では認めず

被害者Aさんの遺族は、交通事故での後遺障害による労働能力の一部喪失を理由として、被害者の症状固定時である44歳から67歳までの逸失利益の損害を主張しているところ、裁判所は被害者Aさんの交通事故による逸失利益があるとはしたものの、被害者Aさんは交通事故と因果関係のない本件死亡事故により死亡したものであるところ、交通事故での裁判が始まる前に心臓麻痺で死亡の事実が発生し、その生存期間が確定して、その後に逸失利益生ずる余地のないことが判明した場合には、後遺障害による逸失利益の算定に当たりこの死亡の事実を斟酌すべきものであるとして、被害者Aさんの死亡後の期間についての逸失利益を認めなかった。

特段の事情がない限り・・・

その後の審判では、交通事故の被害者が事故に起因する障害のために身体的機能の一部を喪失し、労働能力の一部を喪失した場合において、いわゆる逸失利益の算定に当たっては、その後に被害者が死亡したとしても、交通事故の時点でその死亡の原因となる具体的な事由が存在し、近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り、死亡の事実は就労可能期間に認定上考慮すべきものではないと解するのが相当である。ただし労働能力の一部喪失による損害は、交通事故の時に一定の内容に消長をきたすものではなく、その逸失利益の額は健康状態等の個別要素と平均稼働年数、平均余命等に関する統計資料から導かれる就労可能期間に基づいて算定すべきものであって、交通事故の後に被害者が死亡したことは、特段の事情のない限り、就労期間の認定にあたって考慮すべきものとは言えないからである。また交通事故の被害者が事故後にたまたま別の原因で死亡したことにより、賠償義務を負担する者がその義務の全部または一部を免れ、他方被害者ないしその遺族が事故により生じた損害の填補を受けることができなくなると言うのでは、衡平の理念に反することになる。とした。

またべつの事案では、被害者Bさんは交通事故にて左膝開放骨折、右第五中手骨の骨折を負って入院・通院を繰り返し、結果神経症状と可動域制限により後遺障害認定となった。その後本事案とは別の交通事故にて死亡した事案。高校を卒業し会社員として仕事をしていたが、一度目の交通事故で慰謝料とその後10年間の逸失利益を主張しているものであるところ、裁判は前記判決を引用し、交通事故の被害者が事故に起因する後遺障害のための労働能力の一部を喪失した場合における財産上の損害の額を算定するにあたっては、その後に被害者が死亡したとしても、交通事故の時点でその死亡原因となる具体的事由が存在し、近い将来における死亡が客観的の予測されていたなどの特段の事情がない限り、この死亡の事実は就労可能年数の算定上考慮すべきではないと解するのが相当である。

そのように解すべきことは、被害者の死亡が病気、事故、自殺、天災等いかなる事由に基づくものか、交通事故と死亡との間に相当因果関係ないし条件関係が存在するかどうかと言った事情によって異なるものではない。

示談待ち?

被害者Bさんの場合、その判決としては、そのように解釈しないといわゆる中抜け現象の説明ができないものである。

すなわち、被害者Aさんの加害者に対し、被害者Bさんの事故による死亡の逸失利益を請求できないとなると、被害者Bさんの加害者また同様に被害者Aさんの事故で減少した逸失利益を請求される理由はないから、トータルで被害者側の得られる総損害額が減額されてしまう。その意味でこの判決は正当と思われる。

しかし交通事故による死亡とそうでない場合とで、第一事故の加害者の損害賠償の範囲が変動することも、またおかしいと言うこともできるから、上記裁判を基礎としてさらに個々の事例で精密に解釈を加えて行くこととなろう。

その意味で今後の実務に与える影響がきわめて大きい判決である。

以前から重度後遺障害の事案は、死亡事案よりも損害賠償額が高額化する傾向があった。

これは逸失利益については、生活費控除をしないこと、将来の付き添い料が認められる事案が多いことなどにもよるものである。

この場合、支払い側では被害者の死亡の可能性もあるため、死亡待ちともとられる対応がなされ、訴訟以前の示談、訴訟が長期化する傾向がないでもなかったが、上記の判断がなされたので、その傾向がゆるまる可能性がでてきた。