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「誠意がない」と言われたら
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被害者からの電話で
「誠意がない」と言われたら

保険会社に任せてあるのに、被害者から直接電話がかかってくる。

誠意がないと言われた。

担当者は何をしているんだ? など、よく加害者から連絡があります。

はっきり言いますけど、被害者の方が正しい!

お見舞いの連絡などせず、保険会社にお任せ?   

それはダメですよね、ふざけるなと言いたくなりますよね!

 

 

 

 

脅迫が成立する場合(恐喝罪とは)

 

 

 

 

刑法249条は、「人を恐喝して財物を交付せしめたる者は10年以下の懲役に処する」

 

「前項の方法を以て財産上不法の利益を得、または他人をしてこれを得せしめたる者また同

 

じ」と定めている。

 

「恐喝」とは、財物または財産上の利益を供与させる手段として、人を畏怖させるに足りる

 

ような行為をすることであるとされています。

 

脅迫ばかりではなく、暴行も含まれる。

 

上記のような目的がない場合は、ただ脅迫罪(222条)や暴行罪(208条)が成立する

 

にすぎない。また、相手方の反抗を抑圧しない程度の脅迫、暴行なのであり、抵抗を抑圧し

 

て財物を取ったりするのは強盗罪(236条)にあたります。

 

「脅迫」とは相手の生命、身体、自由、名誉または財産に対して害悪を加えることを告知す

 

ることで、相手が恐怖心をおこすようなものである必要がある。

 

明示、黙示を問わず動作や態度で示されるものでもよい。

 

例えば、2つの派の暴力団の抗争が熾烈になっている時期に、一方の派の中心人物宅に、現

 

実に出火もないのに、「出火お見舞い申し上げます、火の元にご用心」などと言うハガキを

 

送った行為を脅迫罪にあたるとした判例もある。告発する脅し口止め料として金品を提供さ

 

せたりすれば恐喝罪構成する。

 

 

 

 債権の行使と恐喝罪

 

相手方に対して債権を有する場合に、その弁斉を得るために脅迫、暴行を用いたとして、犯

 

罪は成立するのでしょうか。

 

判例は、かつては、権利の行使であるから恐喝罪は成立せず、ただ脅迫罪などが成立する場

 

合があるにすぎないとしました。

 

しかし、近年の最高裁の判例は、権利の実行が「その権利の範囲内であり且つその方法が社

 

会通念上、一般に認容すべきものと認められる程度を超えない限り、何等違法の問題を生じ

 

ないが、上記範囲と程度を逸脱する時は違法となり、恐喝罪の成立することがある」と言う

 

考え方に立っている。従ってまず第一に、権利の範囲内であるかどうかが問題となる。

 

上記最高裁の判例は、請求権が認められるとしても、3万円であるのに6万円を取ったと言

 

う事実である。昔の判例では価格10円以下の松の木1本を抜き取って自宅に持ち返った相

 

手に対し45円を出さなければ告訴をすると通知して、損害賠償名義のもとにその金を交付

 

させたケース、露天商の植木鉢など被害額3万円余りのものを壊した相手に対して弁償金

 

20万円の支払いを約束させ、即時内金10万円の交付を受けたケースに、それぞれ恐喝罪

 

の成立を認めたものがあります。

 

権利の行使として金員を取ろうと言う意図が伺えるかどうかが、ポイントとなるようです。

 

キャバクラ嬢が事故により20日間休業したと言う事案で、そのキャバクラ嬢のパパが代理

 

人として60万円の休業補償の要求をし、交渉の過程で語気が荒く不隠当な言動をした場合

 

に、裁判所は加害者側に誠意が見られない事情がある下ではこの程度の言動は社会通念上許

 

容しうるとする一方、過大な請求をする意図、休業補償金名下に金員を恐喝せんとする目的

 

も決めがたいとして、恐喝罪の成立を否定した。

 

被害者や被害者の代理人が賠償金の取り立てを依頼した者が、資料的根拠もなく異常な額の

 

請求をしてくる場合、その目的が権利行使に藉口した金とりにあるとみられるときは、脅迫

 

や暴行が伴えば、恐喝罪が成立する可能性が高いと言ってよい。

 

権利行使の方法が、社会通念上一般に認容すべきものと認められる程度を超えているかどう

 

かの判断は微妙である。

 

その権利義務の内容、性質、成立原因、交渉過程、債務者の誠意、努力のありなし、双方の

 

資産地位等、さまざまなファクターを考慮して判断しなければならない。

 

被害を受けた者が怒るのはある程度当然であるし、被害の程度が大きく、加害者側の責任が

 

重い時、さらには加害者側に誠意が見られない時には、多少不隠当な言動で詰め寄ったりし

 

ても、違法であるとまでは言えない。

 

通常人ならば恐怖心を抱くような害悪の告知がされたかどうかと言う事も、事案の内容に

 

よっては認容すべきと認められる程度は微妙に異なる。

 

対応に関してまず、加害者側の誠実な態度が見られる事案では、恐喝罪が成立する可能性は

 

高いと言えよう。

 

他の事案にて、深夜加害者の自宅に押しかけて嫌がらせをし、玄関に出て行った加害者に対

 

して、被害者が負傷したものと同様に「足をこの場で折ってやる」と言い出し、杖で殴りか

 

かりそうな気配を示して、200万円を要求したと言うケースであった。通常人ならば恐怖

 

を抱くであろうから「脅迫」にあたるであろう。このケースでは治療費と休業損害は毎月き

 

ちんと支払われていたのであり、慰謝料分としても十分ではないが、ある程度支払われてい

 

た。症状が治癒もしくは固定していないのに、別途内金として200万円支払えと言うの

 

は、被害者の要求としてはやや異常であろう。この被害者は賭博のつけを払わなければなら

 

ないと言った事情があったようだ。

 

恐喝未遂で逮捕され、取り調べを受けたのは当然である。そして検事が起訴まではせず、反

 

省状況をみて起訴猶予と言う不起訴処分をしたのは、妥当な処理であったと思う。

 

恐喝の他、ありうる犯罪としてはいくつかある。

 

賠償請求の為、会いたくないと言うのに無理に家屋へ押し入って、居座ると言う行為は故な

 

く人の住居に進入したと言う事で、住居侵入罪(130条)のあたる可能性がある。家屋に

 

入った時は問題がなくても、今日は返って欲しいと何度も懇願しているのに、居座り続ける

 

と言う行為は、不退去罪となる可能性がある。

 

恐喝罪が上記のような行為に伴っている時は、住居侵入が犯罪の手段として用いられると言

 

う事で、両者は牽連犯とされたり、住居侵入は不退去が脅迫一内容をなしていると言う意味

 

で観念的競合関係にあるとされる。この場合は重き刑の恐喝罪で処罰されることになる。